シンガポールで最も有名なバー『ロングバー(LONG BAR)エスプラネード/シンガポール』

シンガポールで最も有名なバー『ロングバー(LONG BAR)エスプラネード/シンガポール』

考案から100年が経ってもなお、人に愛され、人を魅了し続けるカクテル”シンガポール・スリング”。今回は、そんなカクテルを生んだバーに訪れた。

入口

シンガポール・スリングとは

シンガポール・スリングが考案されたのは、約100年前の1915年のこと。
イギリスの小説家”サマセット・モーム”が、「東洋の神秘」と賛美したシンガポールの最高級ホテルである”ラッフルズ・ホテル”の”ロング・バー”にて、当時のチーフバーテンダーである厳崇文(ニャン・トン・ブーン)が最初に作ったのが発祥だという。
シンガポールの夕焼けをイメージして作られたカクテルは、赤みがかったオレンジ色に染まっていて美しい。

1930年に刊行された”サヴォイ・カクテルブック”に掲載されたことをきっかけに、このカクテルは世界的に広まり、100年の時を経ても人々を魅了し続けている。
しかし、残念ながら日本においては、まだまだ一般認知度は低いカクテルであることは間違いなく、それは日本のバー文化が一般化していないことの表れなのかもしれない。

多様なレシピ

一口にシンガポール・スリングと言っても、そのレシピは多岐にわたり、レシピによって味わいは大きく異なる。
一般的とされているサヴォイ・カクテルブックに掲載されているレシピは、簡素化されている分、味が単調な印象が否めない。
やはり、発祥であるラッフルズ・スタイルといわれるレシピのほうが、使用される材料の数も多く、味に奥行きがあるように思う。
日本のバーでは、どちらのレシピで作っても正解とされているようだが、あえて手間のかかるラッフルズ・スタイルで作ってくれるバーに出会えたら、そのバーは信頼に値するだろう。

ロング・バー

さて、本題。
2019年2月、ホテルの大規模な改装中に訪れた。そのため、ホテルの周囲はこのように壁に囲まれており、営業しているのはギフトショップとロング・バーだけだった。

工事の外壁

ロング・バーを訪れる大半の人の目当ては、この「オリジナル・シンガポール・スリング」だろう。32SGDとかなり高めの設定だが、これ目当てに来ているからには、ほとんどの人がこれを飲んでいた。

メニュー

しかし、それだけじゃないのがこのロング・バー。シンガポール・スリングのベースとなったであろうジン・スリングや、その他にもシグネチャーカクテルが多数。日本とシンガポールの国交樹立50年を記念して作られた、日本酒の獺祭を使用したカクテルなんてものもあった。

シグネチャーカクテル①
シグネチャー・カクテル②

目当てのシンガポール・スリングは、噂に聞いていたよりもかなり美味しい。トロピカルでスイートなテイストは、お酒が得意でなくてもきっと楽しめる仕上がりだ。日本のバーテンダーに聞くと、「大量に作り置きされたものを注ぐだけだから美味しくない」なんて回答が返ってくることが多いが、少なくとも今は全くそんなことはない。もし情報が古いままのバーテンダーがいるのなら、即時アップデートすべきだろう。

THE ORIGINAL SINGAPORE SLING(オリジナル・シンガポール・スリング)

ちなみに、名物のピーナッツは、ボリューム満点。絶妙な塩気が浸透しており、思いがけず進む。それを物語るように、床にはナッツの殻が散乱しており、歩いていると殻で滑りそうになる。

床に散乱したナッツの殻

お土産にはラッフルズ限定のシップ・スミス

ギフトショップの棚の冗談にポツンと置かれていた有名クラフトジンのシップ・スミス。キャップが赤なので、一見すると、V.J.O.P#2かと思うが、よく見れば、「Raffles 1915 Gin」の表記。直感的に限定品だと理解し、100SGD超とかなり高めだが、ここでしか買えないだろうジンを目の前にして迷うはずもなく即購入。 どうやらこのジンは、ジャスミンの花、ポメロの皮、レモングラス、コブミカンの葉、ナツメグ、カルダモンなどアジア地域の植物を使用しているというジン。購入したものは未開封なのでテイスティングコメントはできないが、もしまだ売っていたら、ぜひ買ってみるといいだろう。ジン好きならば、泣いて喜ぶ代物だろう。

RAFFLES GIFT SHOP
SIPSMITH Raffles 1915 GIN

まとめ

発祥の地であるロング・バーで飲むシンガポール・スリング。100年という時を経る中で、時代に合わせて味を変え、今なお人々を喜ばせる名カクテル。日本での噂に反して、ちゃんと美味しく飲めるその一杯は、シンガポールの思い出に刻まれること間違いなし。